結婚という名の偽り
クレアは両親を亡くして以来、ブティックを経営しながら、妹ジルの面倒を見てきた。
その日もクレアは帳簿とにらめっこしていた。
もう店を閉めようとしたとき、オーナー、ロスが訪ねてきて、とんでもないことを言った。
「君の妹さんは妊娠している。
相手は僕の弟らしい」クレアは呆然としたが、ロスが妹をふしだらな女だと決めつけ、お金で解決しようとしているとわかると、怒りがこみあげてきた。
こんな場合でなければ、とても魅力的な男性だと思っただろうに……。
ブラムが祖母を住みこみで看護する看護師を探していると聞き、ジェナは衝動的にその役を買ってでた。
彼にひそかに思いを寄せていたからだ。
ひとつ屋根の下で生活すれば、ふたりの関係が変わるかもしれない。
そんな期待もむなしくブラムはジェナに対して冷たい態度をとり、言葉も交わさないまま数日が過ぎる。
ある晩、寝つけないふたりはキッチンででくわした。
初めてまともな会話を交わすうち、ブラムが突然、ジェナを抱きすくめて情熱的にキスをしてきた。
タイラーの夫は五年前、彼女を捨てて家を出た。
妻よりも、特殊空挺部隊の危険な任務を選んだのだ。
彼には温かな家庭よりも、戦場こそが似つかわしい。
そういい聞かせて、タイラーは独りで痛みを乗り越えた。
だが、そんな彼女が予想外の事件に巻きこまれる。
貴重な翡翠の工芸品を盗んだ疑いをかけられたのだ。
嫌疑を晴らすため、調査を進めていたタイラーは、深夜の駐車場でいきなり何者かに殴りかかられた。
意識を失う直前、彼女はたしかに見た。
かつて愛した夫の姿を。
嵐の夜停電で止まったエレベーターに閉じこめられ、ペイジはパニックに陥った。
乗り合わせた見知らぬ男性に慰められるうち、親密なひとときを過ごしてしまう。
ふだんの自分とあまりにかけ離れた行動に動揺し、ペイジは逃げ出すようにその場を去った。
もう忘れてしまおう。
そう決意したものの、新しいボスのジェイリッドを見て、ペイジは凍りついた。
まぎれもなく、彼はあのときの男性だったのだ!スペインの大学に通い始めたジョージアナは、名づけ親の息子フアン・モンサントの屋敷で世話になることになった。
彼は公爵の称号を持つ尊大な独裁者で、何かにつけてジョージアナに干渉してくる。
十九歳なのに子供扱いされ、彼への反発心は募るばかりだ。
その一方、フアンはまるでジョージアナを誘惑するような行動をとる。
じっとこちらを見つめる目、魅惑的な笑み、そして、キス。
いったいフアンは何を考えているの?もうすぐ彼は、良家の女性と結婚するというのに……。
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